合格体験記 ( 2009 T.S )

【入学年度】 2009年
【年齢】 33歳
【職歴】 シンクタンク(8年半)
【私費/派遣】 私費
【最終学歴】 東京大学大学院(物理学)
【国外経験】 米国、欧州への海外出張を数回
【TOEFL対策】
数年前に受けたTOEICが600点だったため、かなりインテンシブな英語学習が必要となりました。私費のため予算はできるだけ切り詰めたかったのですが、イフ外語学院のTOEFL受験コースを受講することにしました。私と同様のレベルから開始する場合、多かれ少なかれこうしたプログラムの受講が必要になると思います。予算等、早めの検討が必要かと思いますのでご留意ください。
なお、TOEFL準備は2007年夏に開始し、8月75点、10月99点、12月105点と推移しました。可能であれば110点を取り競争力を高めたいとも思いましたが、全体戦略上の位置づけと予算面を考慮し、ここで終了としました。
1. Reading
リーディングでは、本文を通読せず、設問文を先に読み、本文は関連する箇所のみを読んで解答するトレーニングをされると良いと思います。設問の中には、本文を読まなくても解答できる単語問題も1、2問含まれていますので、本文を通読するとタイムロスが発生してしまいます。iBTに変わってから文章が長くなったと言われますので、とにかく時間の有効活用を心がけてください。また、設問文自体もかなり長い文であることもありますので、出題の形式を事前に覚え、設問を斜め読みできるようにする対策も必要かもしれません。
なお、リーディングでは単語力がきわめて重要ですが、私は『大戦略』シリーズを活用しました。GMAT対策まで考えるとやや物足りないかもしれませんが、これを1冊集中的に勉強することでTOEFLのリーディングには十分対応可能でした。
2. Listening
TOEFLのリスニングでは、実はレクチャーの内容の詳細まで理解できなくとも高い点数を取ることが可能です。画面上に表示される選択肢の中に必ず回答がありますので、リスニング中は、レクチャーの全体構造を把握することと、単語の音を拾うことだけに専念してみてください(私はこの方法で28点を取りました)。もちろん詳細内容がわかるに越したことはありませんが、TOEFLはあくまで試験に過ぎませんし、受験の1要素に過ぎませんので、戦略的に対応するのが良いと思います。なお、単語の音を拾う練習は、オフィシャルガイドとBARRONS(3,000円程度)を使用しました。BARRON’SはTOEFL本試験の傾向にできるだけ忠実に作られていると感じました。
3. Writing
Integratedでは、レクチャーは文章の内容と反対の主張を述べていることがほとんどのようです。そのため、「reading passageでは…と述べているが、lectureでは反対の意見が述べられている。その理由としてlecturerは…との指摘をしている。」等のテンプレートを作成しておくと良いと思います。なお、主張内容は、(これもほぼ確実に)3点から構成されているようですので、主張の対立関係を表現する3つのテンプレートを作成しておくとなお良いと思います。試験中は、文章そのものは少し時間が余るくらいの分量なので、できるだけ早く読み、主張されている3点をメモに書き出し、それぞれについてリスニング部分でどのような反論がなされているかだけに集中できるようにすると良いと思います。
Independentは従来のCBTと同じ方式の問題ですので、単純に自分の書きやすい文章のテンプレートを作成しておくことで対策が可能です。オフィシャルガイドに設問例が掲載されていますので、10例程度練習すると、かなり傾向を掴むことができます。
なお、帰国子女等の方以外については、英語作文能力の向上にあたり、ネイティブチェックが重要となるかと思いますので、個人指導にせよ、予備校にせよ、ネイティブによるレビューを活用されることをお勧めします。
4. Speaking
私の場合、Speakingは最終的に26点までいきましたが、予備校講師の話だと、日本人の場合は23点を取れば、戦略上それ以上の上乗せができなくとも大丈夫とのことでした。
Speakingでは、意外に思われるかもしれませんが、大きな声で解答することも重要です。おそらく1、2点上がりますので、試してみてください。また、話す内容を構造化するための単語(There are two reasons. The first reason is that…等)は必ず使いましょう。
Speakingにおいて決定的に重要となるのは、6問ある問題の形式を研究し、それぞれに合ったテンプレートを全て作成することです。私の場合、イフ外語学院で学んだテンプレートを生かし、自分で作成した例題のサンプル解答を日々読み上げる練習をしていました。英語のSpeakingは日本人にとって敷居が高いので、文章の出だしの表現(In the set of materials, the reading passage describes…, and the lecture adds other examples about …等)については完全に記憶して試験に臨みました。出だしがOKなら、何となく次も言葉が出てくるものです。なお、設問1、2については、あくまで試験中に喋りやすいテンプレートを作ることとし、内容はすべてフィクションとしました(例えば、記憶に残る贈り物は?との設問に対して、「我が家は昔から貧乏だったので、一所懸命野球を練習してプロ選手となり、両親に家をプレゼントした」等)。
日本の会場でTOEFL受験される方は、大部屋での受験となりますので、Speakingでは合法的(不可抗力的?)なカンニングが可能です。TOEFLは試験開始前に様々なインストラクション画面がありますが、是非ゆっくり読み進めてみるようにしてみて下さい。他の受験生とのタイムラグがあると、皆さんがリスニングパートを終え休憩している間に他の受験生のSpeaking解答が聞こえてきますので、何となく出題内容を想像することくらいは可能です。
【GMAT対策】
GMATは、当初TOEFLと並行して受験を始めたために、第1回目の点数が580点という散々な状況でした。これからMBA受験される皆様の方がよくご存じと思いますが、GMATとTOEFLは試験の目的が全く異なるものですので、それぞれに集中的に勉強する時間を設定して臨まれると良いと思います。特に英語力を高めている段階では、GMATでは絶対に良い点数は出せませんので、私のように「最近の傾向を早めに知りたい」として無理に受験に踏み切っても何も良いことはない(1回3万円以上しますし、年間5回しか受けられませんので、むしろリスクが高い)と思います。
GMAT対策としては、当初オフィシャルガイド中心の勉強で580点(2007年秋)、610点(2008年初め)という状況であったことを受け、Verbalを中心にWlimits(10回分のオンライン試験)を活用することにしました。結果として、680点(2008点7月)、710点(2008点9月)と点数を上げることができました。
1. Verbal
私は最終的に35点でしたが、内訳を考えると、SCが大きな得点源になっていたと思います。SCはGMAT限定の英文法問題のようなものなので、GMATのご作法(so as toと三語続く形式は正解とならない、等)を学ぶことが重要です。この部分は完全な独学ではなかなか難しいと思います。RC、CRについては、単語力と速読力を鍛えることで、独学でも十分に対応可能ですが、CRは慣れを必要とします。私の場合、Wilmitsの試験問題を自分になりに研究し、ひっかけの傾向を分析しました。RCはTOEFLのリーディングよりも単語は難しいですが、問題そのものは日本語の現代文の試験のようなものなので、オフィシャルガイド等の勉強時間を十分に取れれば、特に対策は必要ないと思います。
2. Math
Mathについては大学で理科系であったこともあり、概ね50点は取ることができ、あまり苦労することはありませんでした。ただ、見かけない単語が出て意味が掴めないことがあったり、設問が長文の問題で時間がかかってしまったりすることがあり、点数以上に試験中は焦った記憶があります。WilmitsではMathについても問題を提供していましたので、Verbal程ではありませんが、演習を行いました。
3. AWA
私は4.5点どまりであったため、AWAについてはあまりご参考になるアドバイスはできませんが、逆に言えば、TOEFL対策にもとに、AWA向けのテンプレート作りをプラスするだけでも4.5点は取れるとも言えるかもしれません。得点の伸び悩みの理由は文章表現力の無さで、設問に対する回答は思いつくものの「ほぼ100%ミスのない英語で書けるもの」という条件が付いてしまうとせっかく思いついた回答が使えないことがあり、回答内容の再考に追われ、余計な時間を費やす原因となりました。日本人受験生の場合、4.5点でもあまり問題はないと言われますが、ケンブリッジは作文能力を重視していますので、もう少し点数を伸ばしたかったというのが正直なところです。
【エッセイ対策】
元々、仕事を通じてお世話になった周囲の方々から海外留学を強く勧められたことがきっかけであったため、基本的にそれらの方々とのディスカッションを通じて、エッセイの論点を固めていきました。グローバルな視野をお持ちの方が周囲にいらっしゃる場合、そうした方のアドバイスを聞いておくと良いと思います。また、ハーバード大学合格者のエッセイ集が市販されていますが、そうした書物でもグローバルな視点を学ぶことができます。
エッセイでは、グローバルな受験競争を意識しなければならないため、普段の業務を国際的な視野で位置づけるという思考プロセスが欠かせません。日本国内での業務を主体とする方にとっては、このプロセスが特に重要です。私の場合は医療関係の業務が主体で、制度も市場もすべてドメスティックであったため、「世界的な高齢化の潮流の中で世界の経済成長をいかに持続させるか」、という視点から日本という1つのローカルな市場においてなすべきこと(「労働力低下への解決策(治療サービスから社会復帰・職場復帰サービスへの移行)」)を導き出し、なすべきことに対して自分どのように取り組んだのかを示すようにしました。エッセイの決め手は、もちろん、経験やそこから得た教訓についての個別性、具体性、プログラムとの関係性であると思いますが、コモン・センスにあたる部分として、そうしたグローバルな視点が求められていると思います。
私の場合、エッセイの最終仕上げにのみ、ネイティブカウンセラーのチェックをお願いすることにしました。事前に調べる時間が足りなかったため、大手であるAGOS Japanのカウンセリングサービスを活用しましたが、自分で相当程度作りこんでおかないと、1回1時間のレビューを十分に有効活用できませんので、ご注意ください。また、カウンセリングでは文法ミスの指摘ではなく、エッセイをより力強いものとするための概括的アドバイスが提示されます。そのアドバイスを受けてどう書くかは自分次第なので、結局は自分がどのようなことを書きたいかをしっかり考え抜くことが必要です。なお、コンサルタントやカウンセラーとの共同作業を通じてエッセイを作成したいと考えていらっしゃる方については、よりトータルなサポートが含まれているサービス(AGOS Japanにもありました)を活用されると良いと思います。その場合、料金はかなり掛かりますので、全体予算との調整が必要かもしれません。
ケンブリッジの場合、エッセイやミニエッセイを合わせると、その数は比較的多い方だと思います。それぞれの項目に重複が出ないようにしつつ、それぞれが十分に面白みのあるエッセイとするにはかなりの時間を要すると思います。私の場合、2か月で80~100時間程度かかってしまいました。所要時間には個人差があると思いますが、かなりハードな作業となりますので、睡眠時間との調整にご留意ください。
最後に、個人的経験からのアドバイスですが、英文の文法の細かな点にはあまり気を付けなくて良いと思います。あくまで重要なのは中身です。(事実、私のエッセイを読み直したところ、文法ミスが少なからずありました。)英語の流暢な人々は世界に何億人といるので、是非、皆さんが何を言いたいかを徹底的に追及してみて下さい。
【推薦状対策】
ケンブリッジの場合、推薦状は、上司と同僚からそれぞれ1通ずつ提出してもらうことになります。推薦状には、推薦者向けの設問が複数(2009年は8問でした)用意され、そのそれぞれに回答しなければならないため、かなりの負担を強いることとなります。
推薦状の作成プロセスで重視したのは、(1)推薦者の納得性(2)エッセイとの対応、の2点でした。
(1)について、推薦状は基本的に推薦者が書くものとされていますが、実際には、受験者が論点を用意し、推薦者とのディスカッションを行い、推薦状骨子の箇条書きを作成した上で、執筆をお願いするといったように、受験者側が事務局としてのイニシアチブを取って協働作業を進める必要があります。この際、受験者が一人先走りしてしまうと、推薦者は「頼まれた内容で書いているたけ」という状況に陥り、推薦者の目から見た受験者の姿がぼやけてしまう結果となります。そのため、私はまず日本語で十分にディスカッションし、私への評価を根掘り葉掘り聞くことから開始しました。「こういうところを褒めてほしい」という私の意見に対して「実は、私は…について高く評価している」といった意見を述べてもらうことが多く、そうした本人の視点を箇条書きにまとめていき、執筆を依頼しました。受験プロセスは受験者と推薦者との共同作業のようなものですが、こうした推薦者の納得性に十分に配慮することで、本当の二人三脚が組めるように感じました。
(2)については、エッセイに記載した成果を、第三者の客観的立場から執筆してもらうようにしました。特に、ケンブリッジのエッセイは語数が少ないため、エッセイでは主張したい中核部分に集中し、推薦状において背景となる情報や会社とっての位置づけを書いてもらうようにしました。こうした役割分担により、限られたエッセイの語数をできるだけ有効活用するようにしました。
【インタビュー対策】
インタビュー対策は、(1)ケンブリッジの出題傾向をできる限り事前調査すること、(2)解答例を事前に作成すること、(3)自己PRにつながる質問をすること、(4)相手とのコミュニケーションを重視すること、の4点を中心に行いました。
(1)について、ケンブリッジのインタビューは非常に独特で、質問内容も人によってまちまちです。私は米国西海岸の某大学からも合格を頂きましたが、その際のインタビューがアドミッションオフィス職員によるWhy MBA?, Why USA?, Why Now?という非常に形式的な質問から構成されるものでした。これに対して、ケンブリッジのインタビューでは、私の専門分野が医療分野でシンクタンク勤務であったためか、米国のオバマ政権の医療制度改革の成否、OECD諸国の医療費の差異の要因(特に英国と米国)、日本の医療産業が世界トップでない理由などを延々と質問されました。たまたまそうした問題が出るのではないかと思っていたことから、何とか対応することできました。解答するにあたっては、一般的な意見ではなく、私個人の意見を述べることに注力しました。
(2)については、結果的に使うことはなかったものの、海外の掲示板等のサイトから収集したケンブリッジでのインタビュー過去問(30問程度)については、すべて1~3分程度で解答できるような例文を作成して臨みました。解答例をどこまで作りこむかは人それぞれですが、私は会社の仕事(日本語)でもそうしたテンプレートづくりを徹底していましたので、MBA受験でもテンプレートの作りこみはかなり細かくやりました。
(3)については、本当に聞きたいことを聞くことも大切ですが、基本的な質問をしてしまうと、「事前の調べが甘い」「熱意が低い」というような評価が下されてしまう可能性がありますので注意が必要です。また、事前にインタビュアのバックグランド等が示されるため、何を詳しく語れる人物かを事前に検討しておいて損はないと思います。全体的にちょっとやりすぎなくらい積極的な質問をしてしまって良いと思います。
(4)については、ケンブリッジでは教授等がインタビュアとなるため、特に留意する必要があります。前述のように、インタビュアのバックグラウンドを調べ、その専門領域や学歴と関係する質問をしたり、何人もの受験生に少数で対応しなければならないことを気遣う言葉をかけたりするなど、単なるインタビューの問答だけではない要素にも配慮できるとなお良いと思います。
ほんの数年前まで、ケンブリッジは書類審査さえ通ればインタビューはほぼ全員合格といわれていたようですが、今年は他校と同様にインタビューで不合格となる受験生も多数いた模様です。上記の4点に留意して頂き、是非後悔のない準備をしてみてください。
最後に、私の場合、(米国でのキャンパスビジットに大学見学の予算を当ててしまったこともあり)予算面で厳しかったことと、たまたまSimonが来日していたことから、日本でインタビューを受けましたが、社費留学等で資金面に余裕のある方ならば是非現地に行かれると良いと思います。インタビューと学内ツアーがセットになっていて、非常に魅力的なプランとなっているようです。今年も多数の日本人受験生が現地でのインタビューに参加しています。
【メッセージ】
MBA受験のプロセスは途中で挫折することも多く、私自身、試験の成績がなかなか伸びない時期や他校の受験での不合格が続いた時期などに心が折れそうになることもありました。しかし、結果はともかく、グローバルな視点で自らのキャリアを振り返り、今後の人生を考える機会は非常に貴重なものです。是非、勇気をもってチャレンジして頂ければと思います。がんばってください!
ケンブリッジのMBAプログラムは、実践プログラムが多いこと、国際的多様性が高いこと、キャリアがストップする期間が短いこと、カレッジライフを経験できること、クラスメイトとの成熟した関係構築ができることなど、米国MBAと比較した場合の長所が数多くあるほか、全世界で知られた大学ですので、合格すると家族や親類みんなが喜んでくれるという素晴らしい特色があります。この合格体験記が、第一志望の受験校としてケンブリッジを検討するきっかけとなれば幸いです。

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