合格体験記(2013 Sh)

【入学時年齢】 29歳
【職歴】官庁・5年
【私費/派遣】派遣
【最終学歴】ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)大学院(経済学)
【国外経験】英国大学院修士課程留学(上記・1年間)
【Why MBA】
これまでの官庁での勤務を通じて、将来は国際機関でマクロ経済政策や金融規制行政に携わってみたいという思いを強く持っていました。幸運にも大学院留学の機会を与えられて前年に別の修士課程に在籍し、アカデミックな経済学のトレーニングを積んできました。学術的な教育の質は非常に高かったのですが、将来、国際機関等でリーダーとなり、職責を果たして十分に活躍するためには、それだけでは不十分だと感じ、コミュニケーション能力を鍛えるためMBA留学を決意しました。優秀なリーダーであるためには、専門家でない人たちや、全く異なる考え方を持った人たちに対し、わかりやすく、彼らが直感的に理解できるように、誤解なく本質を伝える能力が必要不可欠だと感じてきました。
また、実際に国際機関等で働く前に、多国籍・多文化からなるチームでの仕事の経験を積み、日本で日本人と共に働いていただけでは得られない、国際チームで仕事をする際のスキル(典型的な日本のビジネス文化のどの面が国際的に受け入れられて、どの面が誤解を生むのか、日本人チームと国際チームでモチベーションはどのように異なり、どのようにマネージすべきか等)を得たいと思いました。
さらに、経済政策を例にとれば、あるべき政策の姿や政策目標は経済学の専門家の知見から生み出されますが、それを実現するためのプロセスをうまくコントロールする(利害関係者との交渉や合意形成)という意味でのマネジメントスキルを学ぶことも必要だと考えていました。
その点、自分とは異なる民間セクターから、様々な学術的・職業的・文化的バックグラウンドを持って留学してくる学生が多く、国際的なチームでの仕事およびコミュニケーション、プレゼンテーションの機会が豊富に用意されているMBAプログラムは、自分の目指す将来と過去とのギャップを埋めるのにふさわしいと考えました。
【Why Cambridge】
ロンドン・ビジネス・スクール(LBS)やオクスフォード大学も検討しましたが、主に3つの理由からケンブリッジを選びました。
(1)LBSがビジネススクールに特化しているのに対し、ケンブリッジ大学は総合大学であり、ビジネススクール以外のメリットが非常に大きい点。この点は、実際に入学してみて間違っていなかったと思っています。例えば、私はCambridge Union Societyという全学規模のディベートクラブに所属し、英語でのディスカッションや交渉技術を磨いています。また、カレッジ制を採っているため、学部を超えた交流が盛んであり、カレッジでのフォーマルディナーやクラブ活動、その他のカレッジ関連イベントを通じて、ビジネススクールの枠を超えた人脈を広げることが可能です。私はカレッジのボート部に所属していますが、そこでは、さまざまな学部からメンバーが集まっています。さらに、大規模な総合大学であるため、各学部や研究所で開催される講演会なども多く、既存のビジネスの枠にとどまらない発見と知識の吸収、思考の機会が豊富に用意されています。実際、私はリーマンショック後の政治経済に関する講演会に定期的に出席しており、Cambridge Society for Economic Pluralismという、経済学の方法論とあり方を批判的に考えるクラブでの論文輪読とディスカッションにも定期的に参加しています。
(2)オクスフォードとの比較では、ケンブリッジのほうが、街が美しいと感じました。オクスフォードとケンブリッジでは、街の雰囲気が全く異なります。前者はもともと工業地帯だったこともあり、街と大学の規模がひとまわり大きく、荘厳な雰囲気である一方、街の中の緑は少なく、全体として「リトル・ロンドン」といった印象でした。他方ケンブリッジは、農業地帯だったこともあってか、街の規模は小さいものの、中世の街並みと緑豊かなイングランドの田園風景が調和している印象でした。市の中心部にも緑が多く、個人的に居心地が良いと感じただけでなく、私のような家族帯同での留学の場合は特に子育て環境が良いと思いました。さらに、MBAの授業が行われるジャッジ・ビジネス・スクールは、中世に設立されたカレッジが立ち並ぶケンブリッジの中心部に位置し、総合大学のメリットを享受するのに最適な立地である点も魅力的でした。
(3)入学に際してのMBAダイレクターの”Don’t network, but make friends.”という言葉に象徴されるように、ジャッジ・ビジネス・スクールは、コラボレーションとチームワークに大きな価値を置いており、大きな組織を動かして仕事をする官庁や国際機関の仕事の仕方と親和性があると考えました。この点は、最初の学期が終わった現在では、事前の期待を上回る質の高さで、非常に満足しています。例えば、個々人のモチベーションが異なる状況で、リーダーとしてチームを動かすためにはどのように行動すべきか、リーダーとしての肩書がない場合に、どのようにしたらリーダーシップを発揮できるか、などを、実践を通じて学びました。全体として、実務への転用可能性が高い授業でした。
【TOEFL/IELTS対策】
留学前にTOEFLとIELTSの両方を受けてみましたが、TOEFLよりもIELTSのほうが基準点に達しやすいと感じたため、IELTSで受験しました。IELTSのリーディングとリスニング対策については、TOEFL対策と同じであり、ほかの在校生が詳しく書いているので簡単な紹介にとどめますが、特に役立ったのは、旺文社の「TOEFLテスト英単語3800」の徹底的な暗記と、いろいろな教材(オフィシャルガイドの中のリスニングの過去問やThe Economistのオーディオなど)のシャドウイングでした。スピーキングについては、基準点に達していないのでアドバイスできる立場にありませんが、IELTSのスピーキングテストは面接方式であるため、TOEFLと比べて取り組みやすいと感じました。TOEFLのようにパソコンに向かって話すよりも、人と話すほうが私にとってはストレスが少なかったようです。IELTSのライティングは、表やグラフの描写問題とエッセイ問題の2種類に分かれています。前者についてはFinancial Timesの経済記事などを毎日読むことにより、上昇・下落・安定・変動等を記述するボキャブラリーを増やすことに努めました。後者については、同様の問題がTOEFLでも出題されますが、IELTSで高い評価を得られるエッセイの構成はTOEFLのそれとは異なるので、「エンジョイレッスン」等を通じて、東京にいるネイティヴのケンブリッジ大学卒業生などを探してマンツーマン契約を結び、毎週カフェでライティング指導を受けました。
【GMAT対策】
出願時に在籍していた大学院での勉強が忙しく、GMAT対策に十分な時間を割くことができなかったため、GMATの代わりに、出願時に在籍していた大学院の留学の前に受験していたGREを提出しました。どちらかというと、GMATよりもGREのほうが素直な問題が多く、GMATのようにトリッキーな問題は少ないと感じました。なお、GREについては、オフィシャルガイドを何回か解いて試験に臨みました。
【エッセイ対策】
ドラフトを作り、MBAホルダーでありイギリスでの勤務経験もある元・上司に何度も添削してもらいました。また、上記のエンジョイレッスンで出会ったケンブリッジ大学卒業生の友人にもアドバイスと添削を求めました。
【推薦状対策】
上記の元・上司と職場の後輩にお願いしました。職場の後輩については、日本語で私に対する評価を書き出してもらい、私からも盛り込んでもらいたい内容を伝え、執筆してもらいました。
【インタビュー対策】
友人に江戸義塾のEd先生を紹介してもらって過去の面接の質問内容を入手し、想定問答を作って練習しました。また、日本人在校生にメールを出し、面接の様子やポイントなどを教えてもらいました。面接の練習自体は、当時在籍していた大学院のキャリアサービスで何度か模擬面接をしてもらうことにより回数をこなしました。これまでのキャリアと志望動機について、端的に伝えることに注力しました。
【メッセージ】
本稿を書いているのは、最初の学期が終わる12月中旬ですが、Why MBA?、Why Cambridge?に書いた通り、ケンブリッジでのMBAプログラムは非常に充実しており、大変満足しています。入学前の期待通りの満足を得られているだけでなく、総合大学としてのケンブリッジ大学から受ける恩恵の大きさについては、事前の想定以上でした。また、同級生の質が高く、仕事の進め方について彼らから学ぶ点も大きいと感じます。授業では、チームワークとリーダーシップのあり方について洞察を深めるための仕組みが多数用意され、卒業後に転用可能なスキルが身についていると感じています。ケンブリッジでは、狭い意味でのビジネスの枠を超えた知見と洞察、教養を身につけ、人生を豊かにする機会には事欠きません。長期的視点に立った時に、ビジネススクールを含めたケンブリッジ大学が提供してくれる知的資産は、想像以上に大きいのではないかというのが実感です。1度しかないであろう留学の機会を前に、数ある学部学科、学校の中から、限られた情報をもとに、最も自分の目的にフィットするプログラムを選ぶという意思決定は、決して簡単なものではないと思います。本稿が、その意思決定に臨む際の一つの視点を提供できたとすれば幸いです。

広告